INTRODUCTION

人生には、遅すぎることなんてひとつもない!
“青春”が若者だけの特権だったのは一昔前の話。
今や人生100年時代。打ち込むことがあれば、叶えたいことがあれば、
いつだって青春を生きることができる!
いくつになっても遅すぎることなんてない!
『スペース カウボーイ』(’00)や『マルタのやさしい刺繍』(’08)、
『ジーサンズ はじめての強盗』(’17)のジーサン&バーサンたちのように、
シニアが奮闘するエンタメ映画が、この令和の時代にも誕生した!
笑いあり、希望あり、感動ありのスポ根人情コメディが、
きっと日本の未来を明るく照らす!
主演は、『愛のコリーダ』(’76)や『龍三と七人の子分たち』(’15)など
昭和・平成・令和と活躍し続ける81歳の名優・藤竜也。
脇を固めるのは歴戦のつわもの俳優――
石倉三郎、大門正明、森次晃嗣、小倉一郎らが、藤と共にスクリーン狭しと大暴れ。
さらに山口果林と田中美里も“チームさくら組”の一員として物語に華を添える。
ほかにも本田望結、毒蝮三太夫、
生前ゲートボール愛好家として知られていた三遊亭円楽師匠が名を連ねる。
世代を超えてオールエイジにしっかり響く!
超ベテラン俳優たちが繰り広げる勧善懲悪、人情喜劇が、
今年、大フィーバーの予感。

STORY

織田桃次郎(藤竜也)76歳。学生時代にラグビーで青春を謳歌したのはもう60年ほど昔の話で、光り輝いていた青春時代は、はるか遠い記憶の彼方だ。愛する妻が遺したレストランをカレー専門店「MoMo八番屋」として続けてはいるが、寂しさと物足りなさを感じる日々を送っていた。そんなある日、かつてラグビー部で、いつも自分たちを励まし続けてくれたマネージャー・木下サクラ(山口果林)と再会。彼女が経営するデイサービス“桜ハウス”が倒産の危機と知り、元ラグビー部の仲間を集結させて、何かできないかと模索する桃次郎たち。桜ハウスを立て直すため銀行から融資を受けるには、加入者を増やすことが必要条件。そこで、試行錯誤の末にたどり着いたのは、ゲートボール大会に出場して優勝を目指し、施設の知名度を上げることだった!とはいえ、ラグビーで培った肉体は見る影もなく、今やただのポンコツのジジイたち。しかもボールをゲートに通すだけだけと小バカにしていたゲートボールは、実はなかなか奥深いスポーツで、練習段階から早くもギブアップ寸前?それでも、かつて青春を捧げたラグビーが持つ「ワン・フォア・オールオール・フォア・ワン」の精神がゲートボールにも通じることに気づき、衰えなんてなんのその、友情復活!青春復活!体力復活?熱血ジジイたちの快進撃がはじまった。ところが、思わぬ強敵が立ち塞がる。桜ハウスのライバル施設“漆黒の杜(もり)”もゲートボール大会に出場するため、最強チームを結成していたのだ。彼らの企みは、桜ハウスを倒産に追い込み、その土地に新しい温泉センターを作ること。悪徳ゼネコン企業の陰謀が渦巻くなかで、ジーサンたちそれぞれにも乗り越えなければならない問題が浮上し、あっちもこっちもピンチの大連続!固いチームワークで困難を乗り越え、桜ハウスを救うことはできるのか?

PRODUCTION NOTE

ゲートボールを描くことで見えてくる人との繋がり
もっとシニアが活躍する映画があってもいいんじゃないか──。『それいけ!ゲートボールさくら組』は、そんな製作サイドの想いからスタートした。映画『ペコロスの母に会いに行く』(2013)のプロデューサー村岡克彦が声をかけたのは、数多くのテレビ番組での演出キャリアを持ち、『なんくるないさぁ 劇場版 ~生きてるかぎり死なないさぁ~』(2022)、『映画 紫 MURASAKI −伝説のロック・スピリッツ−』(2023)など映画にも活躍の場を広げている野田孝則監督。そんな彼らが選んだ題材は、ゲートボールだった。日本で考案されたスポーツであり、1970年代からシニア層を中心に全国に普及し、1985年には世界ゲートボール連合が設立。国際的な規模でも普及しているスポーツだ。この映画でも高校生のゲートボールチームが登場するように、若者にも愛好者が増えている。スティックでボールを打つシンプルなスポーツではあるが、チーム競技であり、戦略型スポーツであり、特にチームを描くこと=人間らしさを描けるのではないかと、ゲートボール映画として企画は進められた。
笑いありスポ根あり、シニアの活躍はオールエイジに響く
シニアが活躍する映画であるものの、彼らが頑張る姿を通して「人生には遅すぎることなんてひとつもない」というテーマが中心に据えられ、どの年代にも響くオールエイジ向けのエンタメとして、野田監督は脚本に取りかかった。脚本執筆の最中にラグビーワールドカップ2019が開催されていたこともヒントに繋がった。元ラグビー部の選手たちが、ある出来事をきっかけに60年ぶりに再会。当時ラグビー部のマネージャーだった“木下サクラ”が経営するデイサービス「桜ハウス」の危機を救うため、ゲートボールの試合に勝って、施設に利用者を取り戻す──という物語が生まれた。物語のベースはコメディだが、人生100年時代と言われる現代社会において、日々取り上げられている問題、認知症・老老介護・8050問題・独居老人といった要素を各キャラクターに盛り込むことで、誰にとっても他人事ではないリアリティをプラスした。また、認知症のサクラのキャラクターは野田監督の母親がモデルになっており、サクラと娘の春子との温かい会話には監督の経験が活かされている。
取材・文/新谷里映

CAST

織田桃次郎
藤 竜也
木下サクラ
山口果林
花田菊男
石倉三郎
森長兆司
大門正明
金原巌
森次晃嗣
臼井玲雄
小倉一郎
木下春子
田中美里
嶋田七海
本田望結
特別出演
毒蝮三太夫
友情出演
三遊亭円楽
織田桃次郎 藤 竜也
1941年8月27日生まれ、神奈川県出身。『愛のコリーダ』(76)で報知映画賞最優秀主演男優賞を受賞、『村の写真集』(03)で上海国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞、『龍三と七人の子分たち』(15)で東スポ映画大賞主演男優賞受賞。ほか『愛の亡霊』(78)、『アカルイミライ』(02)、『台風家族』(19)など100本以上の映画に出演。第一線で活躍し続ける名優。
木下サクラ 山口果林
1947年5月10日生まれ、東京都出身。1971年にNHK 朝のテレビ小説「繭子ひとり」の主役としてデビュー。その後、舞台・テレビなど多方面で活躍。2008年より広島・長崎の原爆の悲劇を語り継ぐ朗読劇「夏の雲は忘れない」の公演を続ける。主な映画出演作は「砂の器」(74)、「海潮音」(80)など。
 
花田菊男 石倉三郎
1946年12月16日生まれ、香川県小豆島町出身。1967〜72年に東映東京撮影所で数多くの任侠映画に出演。その後、舞台俳優・コメディアン・タレントとして活動の場を広げ、現在は映画やドラマの名バイプレイヤーとして活躍。2016年には『つむぐもの』で映画初主演。ほか主な映画出演作は『四十七人の刺客』(94)、『どら平太』(00)など。
森長兆司 大門正明
1949年3月10日生まれ、兵庫県出身。1971年に『遊び』で役者デビュー。以降、個性派俳優として映画やドラマで活躍。近年は舞台を中心に活動する傍ら、NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」(06)やNHK大河ドラマ「風林火山」(07)などに出演。主な映画出演作は『セーラー服と機関銃』(81)、『ファザーファッカー』(95)など。
金原巌 森次晃嗣
1943年3月15日生まれ、北海道出身。1967年にテレビドラマ「ウルトラセブン」の主役モロボシ・ダンを演じ人気を博し、ウルトラシリーズに出演。ドラマ・映画・舞台など数多くの作品に出演。代表作はNHK大河ドラマ「天と地と」(69)、「草燃える」(79)、「太平記」(91)、映画『夕陽の恋人』(69)、『ふりむけば愛』(78)など。
臼井玲雄 小倉一郎
1951年10月29日生まれ、東京都出身。1960年からエキストラとして東映大泉撮影所に通い、63年に東映児童演劇研修所に入所。石原裕次郎主演の『敗れざるもの』(64)で本格的デビュー。出演する映画は150本、ドラマは330本を超える。近年の映画出演作は『糸』(19)、『われ弱ければ 矢嶋楫子伝』『マイスモールランド』(21)など。
木下春子 田中美里
1977年2月9日生まれ、石川県出身。1997年、NHK連続テレビ小説『あぐり』のヒロインに抜擢されデビュー。その後、ドラマ・映画・舞台に多数出演。また韓流ドラマ『冬のソナタ』でチェ・ジウ演じるヒロイン、ユジンの吹き替えを務めたほか、柔らかく印象的な声を生かしてナレーターやラジオのパーソナリティーとしても活躍している。
嶋田七海 本田望結
2004年6月1日生まれ、京都府出⾝。3歳から芸能活動をはじめ、ドラマ「家政婦のミタ」(11)、映画『コドモ警察』(13)、『ポプラの秋』(15)など数多くの作品に出演。近年の主な出演作は、ドラマ「少年のアビス」(22)、「ばかやろうのキス」(22)、映画『きさらぎ駅』(22)など。⼥優業と並⾏してフィギュアスケーターとしても活躍。
特別出演 毒蝮三太夫
1936年3月31日生まれ、東京都出身。12歳のときに舞台「鐘の鳴る丘」でデビューし、以降、高校卒業までに「東宝」や「大映」の青春映画に出演。「ウルトラマン」(66)、「ウルトラセブン」(67)で演じた隊員役が人気を博す。役者と並行して「笑点」にも出演し、現在の芸名に改名。俳優・タレント・ラジオDJなど幅広く活躍する。Youtube「マムちゃんねる」も好評配信中。
友情出演 三遊亭円楽
1950年2月8日生まれ、東京都出身。大学在学中に五代目三遊亭圓楽師匠に入門、卒業後は本格的に落語家として活動する。2010年に六代目三遊亭円楽を襲名。演芸バラエティ番組「笑点」に出演するほか、役者としても活躍。NHK連続テレビ小説「ひらり」、大河ドラマ「葵 徳川三代」、映画『の・ようなもの』などに出演。令和4年9月30日に永眠。

STAFF

監督・脚本・編集:野田孝則
1961年生まれ、福岡県福岡市博多区出身。福岡の映像制作会社を経てフリーディレクターとなり、1996年にP-FACTORYを設立。数多くのドキュメンタリー、バラエティを演出。現在は映画やドラマの制作を中心に活躍。主な映画監督作は、ロサンゼルス日本映画祭ベストコメディ賞『なんくるないさぁ 劇場版 〜生きてるかぎり死なないさぁ〜』(21)、ドキュメンタリー『紫 MURASAKI 伝説のロック・スピリッツ』(23)など。
音楽:安部潤
1968年生まれ、福岡県出身。3歳よりピアノをはじめ、現在は作編曲家・サウンドプロデューサー・鍵盤奏者として数多くのレコーディングやツアーで活躍。主な参加作品は、映画『さらば あぶない刑事』(16/村川透監督)、『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』(09/島田洋七監督)、『スープ〜生まれ変わりの物語〜』(12/大塚祐吉監督)など。
撮影監督:髙間賢治
1949年生まれ、東京都出身。大学在学中より若松プロで撮影助手を始め1981年に渡米、ハリウッドとニューヨークで撮影技術を学ぶ。撮影受賞歴は、ヨコハマ映画祭『1999年の夏休み』(88)、『風の又三郎−ガラスのマント』(89)、ポーランド映画祭『白い馬』(95)、日本アカデミー賞『ラヂオの時間』(97)、日本批評家大賞『春との旅』(09)。
美術:畠山和久
1955年生まれ、主な参加作品は、『新・ピンクのカーテン』(91/上垣保朗監督)、『こどもしょくどう』(91/日向寺太郎監督)、『佐賀のがばいばあちゃん』(09/島田洋七監督)、『喝風太郎!!』(19/柴田啓佑監督)など。野田孝則監督作は『なんくるないさぁ 劇場版 〜生きてるかぎり死なないさぁ〜』(21)に続いての参加となる。
照明:上保正道
1951年生まれ、東京都出身。主な参加作品は、『ラヂオの時間』(97/三谷幸喜監督)、『ナビィの恋』(99/中江裕司監督)、『みんなのいえ』(01/三谷幸喜監督)、『デスノート 前編』『デスノート the Last name』(06/金子修介監督)、『山中静夫氏の尊厳死』(22)など。
録音:横澤匡広
1976年生まれ、大阪府出身。主な参加作品は、『旅立ちの島唄 十五の春』(13/吉田康弘監督)、『洗骨』(19/照屋年之監督)、『ミラクルシティコザ』(22/平一紘監督)など。野田孝則監督の映画は今回が3回目の参加となる。

ゲートボールのルール

5人対5人のチームスポーツ。ゲートボール専用スティックとボールを使用して行う球技。
プレーヤーはそれぞれ順番に1~3の3つのゲート(各1点)を通過させ、最後にゴールポール(2点)に当てれば上がりとなる。
※各プレーヤーは、スタート位置から自分のボールが第一ゲートを通過しないと先に進むことはできない。
先に5人全員が上がり(合計25点を獲得)となるか、競技時間(30分)内のチーム合計点の高さを競う。
スパーク打撃*で自チームのボールを有利な位置に進めたり、他チームのボールを妨害してゲームを優位に進めたりと、チームメイトと連携を取ることで奥深いプレーが楽しめる。戦略的なゲーム要素も醍醐味。
*「スパーク打撃」とは自分の打ったボールが、他者のボールに当たった時(タッチ)に行なうことのできる打撃。自ボールが静止した位置から、自ボールを足の裏で踏み押さえ、タッチしたボールを自ボールに接触させた状態で、打撃の衝撃だけでボールを転がす技法。
タイムスコア
競技中に各選手(1番から10番まで)の得点状況を
記録・確認する用具。